アフターコロナの宿泊産業
第49回国際ホテル・レストラン・ショー開催期間中の2月16日(火)、東京ビッグサイトで「アフターコロナ 飛躍へのロードマップ」をテーマにパネル討論会が行われた。宿泊業界の代表者らがコロナ後の観光動向を展望しながら、「多様性のある強い産業を目指していく」ことの重要性を確認した。
登壇者は、日本旅館協会の浜野浩二会長、日本ホテル協会の小林節会長、観光庁観光産業課の多田浩人課長の3氏。基調講演「危機に強い宿泊業の経営戦略」を行ったサービス産業革新推進機構代表理事の内藤耕氏が討論の司会を務めた。
観光庁の多田氏は、コロナ後の観光動向を、中長期的な視点から「元に戻るのではなくて、変化がずっと続いていくのではないか」と述べ、「密→疎」や「小ロット化」の定着を予想した。
日本旅館協会の浜野氏は「地域によっては訪日外国人客が50%を超えている」と指摘し、コロナ前まで拡大していたインバウンドを、コロナ後も重視する姿勢を示した。さらに、「新しい旅のスタイルに合わせた宿泊施設に改修が必要」とし、観光庁にも支援を求めた。
日本ホテル協会の小林氏は「中長期的には楽観している」と述べ、インバウンドも「来年から緩やかに回復していくのでは」と見る。新しい生活様式やワクチンにも期待を寄せる一方、「日本人のアウトバウンドを国内旅行に転換してもらえるような魅力が不可欠」と語った。
内藤氏は「個人客はすでに地元で動いている。大商圏も“Go To”で動いた。一方、団体旅行や出張は厳しい」と分析する。このような状況において、「生産管理工学の見地では、宿泊施設も個人化したオペレーションの方が生産性は高まる」と力説。「団体のやり方で個人客の受け入れを考えるから難しく感じる。個人化に対応できるシステムに変えると、団体客を受け入れるのもすごく簡単。ふっ切れた方がいい」とアドバイスした。
さらに、「いかに一人ひとりの満足度を上げていくかという品質向上と、いかに損益分岐点を下げていくかというオペレーションの問題を同時に考えながら、限られた条件のなかで打てる手を打ち、多様性のある強い産業になってほしい」と述べた。